【中国】労災死亡時における死亡補助一時金の引き上げについて

各地人力資源・社会保障局及び地方政府公式ウェブサイトは、国家人力資源・社会保障部が、近日中に『2018年死亡補助一時金の査定基数に関する通知』(以下『通知』と呼称)を公布することを発表した(原文、東莞市政府公式ウェブサイト、2018年4月18日発表)。

1. 経緯と概要

『労災保険条例』(原文、以下『条例』と呼称、2003年4月27日公布・2004年1月1日施行、2010年12月20日改定)に基づき、企業は各従業員を労災保険に加入させ、労災保険料を納付する必要がある。従業員個人が納付する必要はない(『条例』第10条)。従業員が業務遂行中に傷病により治療する必要が生じた際、また死亡した際に、労災保険適用内と認定された場合、労災保険基金及び企業が補償を提供することとなり、具体的に13の労災待遇項目が規定されている。

労災死亡時補償項目の1つとして死亡補助一時金があり、労災保険基金が死亡した従業員の直系親族に支払う一次賠償金を指す。死亡補助一時金の基準は前年度全国都市住民可処分所得(年収)*1の20倍と定められている(『条例』第39条第3項)。地域や戸籍の区分は無く、全国統一基準となっている。

『通知』によると2018年度における死亡補助一時金は727,920元となり、2017年度(672,320元)比で55,600元の引き上げとなった*2。遡って2018年1月1日から適用され、2018年1月1日~12月31日の期間に発生した労災死亡に係る死亡補助一時金が727,920元に調整される。2018年1月1日~これまでの期間に発生した労災死亡について、死亡した従業員の遺族が既に死亡補助一時金を受け取っている場合は、新基準に基づき差額が支払われる。

*1 国家統計局『国民経済・社会発展統計公報』(通常毎年1月頃発表)上の金額に基づく。
*2 2018年基準:36,396元(2017年度全国都市住民可処分所得) × 20倍 = 727,920元。 2017年基準:33,616元(2016年度全国都市住民可処分所得) × 20倍 = 672,320元。

2. 労災死亡時の補償金額(華南6都市)

華南6都市について以下の表にまとめた(相違点は葬儀補助金のみとなる)。

名称 負担者 支払金額 (一時金参考)2018年例
死亡補助一時金
(全国統一)
労災保険
基金
前年度全国都市住民可処分所得
×20年分
727,920元 (36,396元 × 20)
葬儀補助金(深セン市) 前年度非民営在職従業員
平均給与
× 6ヶ月分
44,880元 (7,480元 × 6)
葬儀補助金(広州市) 44,550元 (7,425元 × 6)
葬儀補助金(佛山市) 30,906元 (5,151元 × 6)
葬儀補助金(江門市) 30,684元 (5,114元 × 6)
葬儀補助金(中山市) 29,388元 (4,898元 × 6)
葬儀補助金(東莞市) 28,824元 (4,804元 × 6)

被扶養家族補助金

配偶者 死亡本人月給
× 40%

左記基数に基づき毎月支払

その他
親族
死亡本人月給
× 30%
孤児
・高齢者
上記基数に
10%を加算
一時金合計 (深セン市) 772,800元
一時金合計 (広州市) 772,470元
一時金合計 (佛山市) 758,826元
一時金合計 (中山市) 758,604元
一時金合計 (東莞市) 757,308元
一時金合計 (江門市) 756,744元

3. 労災と認定又はみなされる状況

(1) 労災と認定される状況(『条例』第14条)
① 就業時間中に就業場所内において、業務が原因により事故傷害を被った場合
② 就業時間前後に就業場所において、従事及び業務と関係のある予備的又は終了時の業務により事故傷害を被った場合
③ 就業時間中に就業場所内において、業務を履行しているために暴力等突発的な傷害を被った場合
④ 職業病にかかった場合
⑤ 業務で外出中に、業務による原因のため傷害を被った場合、または事故が発生し行方不明の場合
⑥ 通勤中に、本人が主な責任では無い交通事故または都市軌道交通、旅客船・フェリー、汽車・列車の事故により傷害を被った場合
⑦ 法律、行政法規規定により労災と認められるその他の状況

(2) 労災とみなされる状況(『条例』第15条)
① 就業時間中に持ち場において、突然発病して死亡したか、又は48時間以内に救急措置を経て死亡した場合
② 災害時の救助、救済等国家の利益、公共の利益を守る活動中に傷害を被った場合
③ 入社前に軍隊に服役して戦闘・公務によって負傷し後遺障害を負い、既に革命傷痍軍人証を取得しており、入社後に再発した場合

(3) 労災と認定されない、又はみなされない状況(『条例』第16条)
① 故意に罪を犯した場合
② 酒に酔う又は薬物を使用していた場合
③ 自傷又は自殺した場合

 (2018年4月作成)

※各地の運用状況が異なる場合があります。実際の状況につきましては各所在地にて再度ご確認ください。
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