【中国】『日・中社会保障協定』の署名について

日本国外務省は、『社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定(日・中社会保障協定)』(日本語原文、中国語原文、以下『協定』と呼称)の署名が2018年5月9日に日本国・河野太郎外務大臣と中華人民共和国・王毅国務委員兼外交部長との間で行われたことを同日付で発表(原文)し、中国国家人力資源・社会保障部オフィシャルサイトも翌10日付でこれを通知した(原文)。

1. 経緯と概要
『中華人民共和国社会保険法』(原文、2011年7月1日施行)及び『中国国内で就業する外国人の社会保険加入暫定弁法』(原文、日本語全訳、2011年10月15日施行)に基づき、外国人が中国国内で就業している場合中国の社会保険に加入しなければならず、企業と従業員はそれぞれ国家と当地の関連規定に基づき社会保険料を納付する必要がある。
日中両国からそれぞれ相手国に派遣される雇用者について、日中双方の社会保障制度への加入が義務付けられることによる社会保険料の二重払い等の問題が生じており、企業と従業員にとって大きな経済的負担となってきた。
この点について二国間での調整をはかるため、日中両国政府は、第1回(2011年10月13日~14日、北京)から計8回にわたる政府間交渉を行い、第8回交渉(2017年10月11日~13日、東京)の実施後、2018年1月28日付で実質合意に至ったことが発表されていた。今後『協定』の早期発効が待たれる。

2. 『協定』のポイント
■目的(前文等)
前文では「日本国及び中華人民共和国の間の友好関係を一層発展させることを目的とし、社会保障の分野における相互の協力を促進することを希望して協定した」としている。
また外務省の報道発表上では、「現在、日中両国からそれぞれの相手国に派遣される企業駐在員等について、日中双方の年金制度に二重に加入を義務付けられる問題が生じており、『協定』は、このような問題を解決することを目的として」おり、「今後、『協定』の締結により、企業及び駐在員等の負担が軽減され、日中両国間の人的交流及び経済交流が一層促進されることが期待され」るとしている。

■対象となる社会保険制度(第二条1項)
両国の公的年金制度(中国の基本養老保険、及び日本の国民年金・厚生年金保険)

■発効までの流れ(第十九条)
国内手続きを各国で調整した上で、両国間で効力発生のための外交上の公文の交換が行われた月の翌月から起算して4ヶ月目の初日(1日)に効力を生じる。

■日本人が中国で働く場合に加入するべき年金制度

就労状況及び派遣期間 加入する年金制度 条文
日本の事業所から
中国の事業所への派遣
5年以内と見込まれる一時派遣 原則は日本の厚生年金保険(国民年金) 第六条1項
上記の派遣者の派遣期間が
5年を超えて継続される場合
原則は中国の基本養老保険だが、両国の当局又は実施機関の合意が得られた場合日本の厚生年金保険(国民年金) 第六条2項
中国に派遣される
日本の公務員
N/A 原則は日本の厚生年金保険 第八条
中国における現地採用 中国の基本養老保険 第五条

 (2018年5月作成)

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